ため息にみる体内メカニズム

ため息をつくと幸せが逃げるなんて言葉がありますが、ため息はバランスの崩れた自律神経を改善させようと働きかける、歴とした体内メカニズムの正常な働きです。人は不安や心配事、悩みや憤りを感じると呼吸が浅くなります。すると血液中の酸素が不足するため交感神経が働き血管を収縮させようとしますが、交感神経が高まると興奮状態に陥り不安や心配事などはさらなる悪化を辿ります。これを鎮めるためには副交感神経を高める必要があるのですが、その最たるが呼吸であり、いわばため息とは異常を来しはじめた自律神経を整えようとする体内からの警告でもあるというわけです。

そもそもため息って出る時は自然に出ているため何が行われているのかはあまり考えた事はありません。ですがよくよく考えると深く息を吸い込み、それを（呆れ顔と共に）長く吐き出すのがため息だと考えると、まさしく深呼吸以外の何ものでもありませんね。深呼吸は文字通り呼吸を深くするためそこはかとなく緊張が解れます。それにより血管が収縮して不足気味の酸素を供給する事となり、さらには副交感神経を優位にさせいわゆるリラックス効果を生み出します。つまりため息は幸せが逃げるどころか体に幸せをもたらすとてもいい行いなのです。

ただ、いかに体にとって良い行いだと言えども、無意識にため息が零れるというのは決して体にとって良い状態ではありません。なにせ体が危険信号を出しているのですから、その考えであったり相手であったりに何かしらの興奮状態を促されているのは否めないのです。なので思わずため息が出た時は、今まさに自分はストレスを受けているのだとしっかり認識してさらなる深呼吸をする事をオススメします。ちなみにそれが特定の人であり、いつもいつもため息がこぼれるならば付き合いかたを改善した方がいいかもですね。ただ呆れているだけならいざ知らず、己の体を痛めてまでそれに付き合うべきか否かを決めるのは自分次第です。